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- 2016.08.05 Friday
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『草迷宮』に続く、金沢の泉鏡花記念館とのコラボレーション企画第二弾は、鏡花戯曲の至宝『天守物語』。
1917年(大正6年)に発表され、来年で成立100年を迎える。ただし鏡花の自信作とされながら生前にはついに舞台上演はかなわなかった。
しかしながら芥川龍之介、谷崎潤一郎、三島由紀夫、澁澤龍彦らによる鏡花文学の評価がすすみ、鏡花没後とりわけ三島、澁澤による『天守物語』復権の狼煙を契機に、歌舞伎、新劇、さらに現代では映画、まんが、イラストレーション、人形など幅広いジャンルで『天守物語』は鏡花作品の中でももっとも人気のある演目あるいはテーマのひとつに躍り出ることになった。
さて、今回のエディシオン・トレヴィル版『天守物語』は、過去に出版された『天守物語』とはまったく異なるユニークな特色を持つ。
もちろん戯曲は泉鏡花の原作そのままに(底本には岩波書店の鏡花全集および岩波文庫を使用。)、海外読者への日本の近代幻想文学の偉大な開拓者の紹介をかね、英訳版「Tale of a Castle Keep」を収録したのである。
エディシオン・トレヴィル版『草迷宮』と同様山本氏による描き下ろし挿絵を日本語版に、さらに山本氏も敬愛する重鎮宇野亞喜良氏に参加いただき、英語版の挿絵を担当していただいた。
和英の本編に加え、日本を代表する二大人気画家の挿絵が一巻に同時収録されるという大変ユニークな鏡花本なのである。